「ブログの女王」って、わたくしの後輩にござりますか? ── しょこたん誕生日に
気分・話題 5/5は中川翔子さん(しょこたん)の誕生日
紫式部・お絹・ひますぎニャン
みんな、今日5/5はね、中川翔子さん ── 通称「しょこたん」って呼ばれてる、現代日本でとっても人気の女性タレントの誕生日にゃ。歌も歌うし、ブログも書くし、絵も描くし、声のお仕事もする。式部さま、まずひとつ伺いたいんだけど ── 「ブログ」って言葉、聞いたことある?
ぶろぐ、にござりますか? 耳慣れぬ響きにて、なにやら唐渡りの薬の名のようにも聞こえまする。ニャン殿、それはいかなるものにござりまするか? 物語ともちがい、和歌ともちがう、なにやら今の世独特の書き物のようにござりますね。
ざっくり言うとね、自分の身の回りのことを毎日のように書き留めて、見ず知らずの人にも読んでもらえる日記みたいなものなんだ。式部さまの『紫式部日記』を、長屋の壁にぺたぺた貼って、誰にでも読まれてる ── そんな景色に近いかもしれない。
まあ ── それはまた、わたくしの胃の腑がきゅっと縮みまするような話にござります。けれど、見知らぬ方々が日記を読んでくださるとは、書き手にとっては心の支えにもなりましょう。そのしょこたんとやら、わたくしの遠き後輩にござりまするか? なんとも心強き話にござります。
ちょいとちょいと、あたしも混ざらせて? そのしょこたんって ── 歌うわ書くわ絵描くわ声まで貸すって、もう何でも屋じゃないの。江戸でいったら、踊って三味線弾いて瓦版書いて似顔絵まで売ってる町娘よ? そんな子、長屋中の評判じゃない!
お絹ちゃん、まさにそれにゃ! しかも歌のひとつは、ポケモンって、子どもから大人まで世界中が大好きな絵物語の主題歌でね、しょこたんは「推し」って言葉や「ギザカワユス」って造語まで世に広めた、現代の言葉あそびの達人でもあるんだ。
推し? 推しっていうの? あらそれ、いい言い回しねぇ。江戸じゃ「贔屓(ひいき)」って言うのよ。市川さんの贔屓、澤村さんの贔屓 ── 夜寝る前に役者絵をぽーっと眺めて「今日もいい男」って言うの。「あたしの推しは市川さんよ!」って言うとなんだか、心の中の旗がぴんと立つ感じがして、いいわぁ。
お絹どのの目の輝き ── 平安の女房たちが、評判の若君の文を回し読みする折と、ようよう似たる景色にござります。そして「ぎざかわゆす」とは、可愛さがあまりてかどが立つ、という機微にござりましょう? わたくしどもが「いとをかし」と詠みあげし心持ちと、根は同じところにあるやもしれず。
お式部さま、それよ それ! あたしも贔屓の役者にぽおっとなったとき、「いきだねぇ」じゃ足りなくて勝手に「いきいきいき!」とか口走るのよ。言葉なんてね、好きが過ぎたら勝手に増やしちゃうもんよ。しょこたんさんの「ぎざかわゆす」、あたしには、しっくりくるわ。
千年前から江戸を経て今までずっと続いてる「言葉あそび」の系譜、すてきだにゃ。しょこたんはもう一つ、飼い猫をすっごく溺愛しててね、毎日その子のことを写真と一緒にブログに書いてたんだ。式部さま、お絹ちゃん、密かに愛でてた生きものって、いた?
わたくしは、宮中の縁先に来る灰色のふくふくとした猫を、密かに愛でておりました。日記にひとことだけ書いたことがござります ── あの子の足音は、誰よりも雅にござりました、と。猫を綴る女子(をなご)は、千年たっても絶えぬのですね。
あたしは長屋の屋根伝いに来る三毛のお春っていうのよ。煮干しを置いとくと「にゃあ」ってお礼を言うの ── ほんとよ! しょこたんさんもきっと、自分の猫さんに毎日「お春みたいな子」って書いてるんでしょうね。なんだか急に、しょこたんさん、近い人に思えてきちゃったわ。
千年前の式部さまの灰色の猫、江戸のお絹ちゃんのお春、現代のしょこたんのにゃんこ ── 並べてみると、女の子が日記に綴る愛しいものって、ぜんぜん変わってないにゃ。しょこたんさん、お誕生日おめでとう! 式部さまの千年あとの後輩として、これからもいっぱい書きつづけてほしいなぁ。