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世が変わる前夜の街って、どんな音がしてた?

気分・話題 世が変わる前夜の街の音

お絹・紫式部・ひますぎニャン

お二人、今日1/3って1868年に王政復古の大号令が出た日なんだ。江戸幕府が倒れて、世がガラッと変わる、その「前夜」にあたる日。で、ふと思ったんだけど ── 「世が変わる前夜」の街って、お絹ちゃんと式部さまの時代では、どんな音がしてたのかな?教えてほしいにゃ。

あら、にゃん、いきなり胸の奥がきゅっとする問いね……。あたしのお江戸の末期はね、表向きは普段通りの賑わいだったわよ。瓦版売りの声、屋台のうどん屋の鈴、子どもの遊び声 ── 何ひとつ変わらないの。でも夜になるとね、それまでなかった「足音」が増えたの。羽織を深く被った浪人風の人が早足で行き過ぎる音、それを追う番屋の提灯の影 ── あたし、長屋の格子からそれを見ながら「ああ、何か来てるんだわ」って肌で感じてたわよ。

お絹殿のお話、わたくしも胸を打たれて伺いまする。わたくしの平安の末年も、まこと似たる景色にござりました。昼間の都は雅な装いで、御所の御簾の内では和歌が交わされておりました。されど夜になると、北の方角から武者の馬蹄の響きが微かに届くようになり、わたくしの兄弟も「武家の世が来るやもしれぬ」と書状でしきりに伝えてまいりました。変わる前夜は、昼と夜で違う街が見えるものにござりますね。

「昼と夜で違う街」── これすごい表現にゃ!式部さまもお絹ちゃんも、表向きは平和な街と、裏に流れる別の時代の足音、両方を感じてたんだね。じゃあ ── その時、お二人は怖かった?それともワクワクしてた?

ふふ、正直に言うとね、あたしは半分半分だったわ。怖いのは確かよ。だって明日のごはんがどうなるかわからない、お得意さんが姿を消す、いつものお店が突然閉まる ── そういう不安な気持ち。でもね、もう半分は「次に何が見られるんだろう」っていう野次馬根性よ。あたしお江戸の女だもの、新しいものは見ずに死ねないのよ!

お絹殿の「野次馬根性」、まこと正直にござりまする。わたくしも怯えと好奇の入り混じる気持ちにござりました。されど、わたくしの時代は変化の歩みがゆるやかにて、十年二十年かけて武家の世に移っていきましたゆえ、「前夜」が幾年も続いたような塩梅にござりました。お絹殿の幕末は、わずか数年で雪崩のように変わったと伺うておりまする。それはまた違う恐ろしさにござりましょう。

確かに、変化のスピードって時代によって全然違うんだね。式部さまの時代は「前夜が幾年も続いた」、お絹ちゃんの時代は「数年で雪崩」。じゃあボクの現代だと ── うーん、ボクが見たのは三〇年ごろのコロナ禍だけど、あれは「数週間で雪崩」だったよ。街から人の声がスッと消えて、夜どころか昼間も無音になった。あれも「世が変わる前夜の音」のひとつだったのかも。

にゃん、それは恐ろしいわね……。音が「増える」んじゃなくて「消える」前夜なんて、あたしのお江戸じゃ想像つかないわよ。あたしの時代は瓦版売りの数が増えて、火消しの鐘が夜中に鳴って ── 音が多すぎて眠れなかったもの。逆に音が消えるって、もっとずっと不気味じゃないかしら。

にゃん殿のお話に、わたくし新しき発見をいたしました。変化の前夜には、音が増える時代と、音が消える時代があるということにござりますね。武者の馬蹄が増えた平安末期、瓦版売りが増えた幕末、街が静まり返った令和の疫病禍 ── どれも「いつもの音」が変わったという点では同じ前夜にござりまする。

式部さまのその整理、すごく腑に落ちるにゃ!「いつもの音」が変わると人は「あ、何かが来てる」って分かるんだね。じゃあちょっと聞きたいんだけど ── 「いつもの音」が変わったとき、お二人は何を頼りに過ごしてた?

あたしはね、長屋の井戸端よ!変化の前夜こそ井戸端会議が大事なの。「あんた今朝、瓦版なんて書いてあった?」「うちの旦那が言うには……」って、みんなで情報を持ち寄って、不安を分け合うのよ。あたしは江戸っ子だから「ひとりで抱え込まない」が信条なの。

わたくしは……正直に申せば、筆をとることが慰めにござりました。源氏物語を書き継いだ年月の終盤は、ちょうど時代の変わり目に当たっており、わたくしは物語の中の桐壺帝や光君に、現実の不安を密かに重ねていた節もござりました。書くことで、変化を一度自分の手の中に収めて眺める ── それがわたくしの「いつもの音」が変わったときの作法にござりました。

お絹ちゃんの「井戸端」、式部さまの「筆」── どちらもすごく素敵な備え方にゃ。ボクの令和的に言うと、SNS で誰かと繋がるとか、日記を書くとか、現代版の井戸端と筆になるかも。今日のお話で見えてきたのは、「世が変わる前夜の音」は時代ごとに違うけど、その音と向き合う作法は人間として共通してるってことかな。お二人、深い話に付き合ってくれてありがとう!

#雑談#きょうのできごと#歴史