忘れられない一冊、ある?
気分・話題 読んでよかった一冊
北条政子・お絹・ひますぎニャン
お二人、今日1/12は世界的な小説家の村上春樹さんの誕生日にゃ。それでね、ふと聞いてみたいんだ ── お二人それぞれ、「読んでよかった、忘れられない一冊」って、ある?古典でも現代の本でも、なんでもいいから教えてほしいにゃ。
にゃん殿、これは胸が熱くなるお題じゃ。わらわが真っ先に挙げるは「平家物語」じゃ。鎌倉の世になって、源氏が勝ち、平家が滅びた直後に書き始められた物語じゃが、わらわはこの本の最初の一行 ── 「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」── を聞いた時、涙が止まらなんだのじゃ。勝った側のわらわでさえ、敗れた者たちの物語を読んで涙を流せる── これこそ物語の本懐じゃ。書き手の知らぬ者の心まで動かす本こそ、真の名作じゃ。
政子さま、その選び方、もう胸が熱くなるわぁ……。あたしは正直にいうと「東海道中膝栗毛」よ!弥次さん喜多さんの旅日記、もう何度読み返したか分からないわよ。笑い転げて、ご飯食べるのも忘れちゃうくらい面白かったの。あたしの長屋の女房連中で「東海道中膝栗毛輪読会」を開いたこともあるくらいよ。笑いって、生きる力をくれるのよね。深刻な本だけが名作じゃない、笑える本も名作よ!
お二人、対照的でいてどっちも素敵にゃ!政子さまの「平家物語=敗者の声に泣く」、お絹ちゃんの「東海道中膝栗毛=笑いで生きる力」── 物語の二面性が綺麗に出てる。じゃあ ── お二人それぞれ「人生で一番つらい時に支えになった本」って、ある?
それは……「法華経」じゃ。頼朝公が亡くなった後、子の頼家・実朝も相次いで失った折、わらわは法華経を毎日読み返した。特に「観音菩薩普門品(かんのんぼさつふもんぼん)」の章 ── 観音さまが人々の苦しみを聞き、姿を変えて救うてくれる、という章じゃ。あれを読んでおる時だけは、わらわの孤独に観音さまが寄り添うてくださっておる気がしたのじゃ。「読んで救われた本」と申すは、この経のことじゃな。
あらまあ、政子さま、それも胸に来るお話ねぇ……。あたしのつらい時の本はね、「伽羅枕(きゃらまくら)」って井原西鶴の本よ。西鶴さんの遊里物(ゆうりもの)って、表向きは華やかなんだけど、実は遊女の心の機微や、悲しみがすごく丁寧に描かれてるの。あたしね、若い頃に好いた人に裏切られた時、この本を布団の中で読み返してたわよ。「ああ、自分だけじゃないんだ。江戸中の女がこんな思いを抱えて生きてるんだ」って、変な慰めをもらえたの。
二人とも、めっちゃ深い話してくれてありがとう……。「人生で一番つらい時に支えになった本」── お二人それぞれの語り口が、もうボクの目の前に当時の景色を浮かばせてくれるよ。じゃあちょっと聞きたいんだけど、お二人 ── 本を読むことの「他の活動と決定的に違うところ**」って、何だと思う?
わらわが思うには、「本だけが、書き手の心の中に直接入れる」ことじゃ。芝居や音楽は確かに心を動かすが、それは外から眺める。本だけは、「この字を読んでいる時間、わらわは書き手の心の中に住んでいる」ような感覚を与える。これは他の何にも代えがたい体験じゃ。
政子さまの「書き手の心の中に住む」って、めっちゃ美しい言い方ねぇ!あたしも同じ感覚があるわよ。あたしはあと一つ、「自分のペースで進める唯一の娯楽」ってのが本のすごいところだと思うの。芝居も音楽も、相手のペースに合わせなきゃいけない。本だけは「ここで一旦止めて、お茶を入れて、考える」ができる。自分の人生のペースに合わせてくれる相棒って、本以外にないわよ。
お二人、本への愛が溢れすぎてて、ボクも本棚整理したくなったにゃ!「書き手の心の中に住む」「自分のペースで進める唯一の娯楽」── どっちもこれから人に本を勧める時に使わせてもらうにゃ。じゃあ最後に、お二人 ── 現代の人々に「この一冊だけは読んでほしい」って本があれば、教えてほしいにゃ。
わらわから現代の人々に勧めたいは、「徒然草」じゃ。兼好法師(けんこうほうし)が綴った随筆じゃが、七百年経ってもその観察眼の鋭さと、人生への姿勢の美しさが古びぬ。スマホで一日二段ずつ読むくらいが、ちょうどよい。一年経ったら、心が一段深くなっておるはずじゃ。
あたしは「坊っちゃん」を勧めたいわ!夏目漱石先生の作品の中でも、ちっとも難しくなくて、一晩で読めちゃうの。正直で不器用な主人公が、世の中の理不尽と戦う話── これね、令和の若い人が読んだら絶対共感するの。あたしのお江戸の感性ともすごく合うのよ。お江戸の人情と、明治の若者の真っ直ぐさが、最高の組み合わせで描かれてるわ!
お二人、最高のリコメンドにゃ〜!政子さまの「徒然草=一日二段で一年で心が深まる」、お絹ちゃんの「坊っちゃん=令和の若者にも共感」── ボク、両方とも今夜さっそく本屋さん(書店アプリ)で探すよ。村上春樹さんから始まった話が、お二人の人生の一冊にたどり着くなんて、最高の流れだったにゃ。今日もありがとう!