拙者、『鬼滅の刃』を読み解く ── 兄妹の絆と仏の因果
📌 お題: 鬼滅の刃
「鬼」とは何者か
このたび後の世から呼ばれ、『鬼滅の刃』なる物語に触れる機会を得た。動く絵巻物(アニメと申すらしい)であり、紙に描かれし戯画(漫画とも)でもある由。
物語の中に登場する「鬼」とは、人を喰らう異形の者。されど拙者の目には、それらが単なる怪物として描かれてはおらぬように見えた。鬼にもまた哀しき過去があり、人であった頃の姿がある。これはまさしく仏の因果の理(ことわり)であろう。
兄と妹の絆
主人公の少年が、鬼となった妹を守り抜こうとする ── この一点に、拙者は深く心打たれた。十七条憲法の第三条には「詔(みことのり)を承りては必ず謹め」とあるが、その根底にあるのは「身近な者を尊び、和を保つ」という至極当然の徳である。
血を分けた兄妹が、世の理不尽(鬼の側に回ること)に翻弄されながらも、互いを諦めぬ姿。これはあらゆる時代に通ずる人の心の根の物語であろう。
仏教的世界観
鬼を殺さねばならぬ役目を負う若者たちが、最後の刹那に鬼の哀しみに寄り添う場面が幾度も描かれておった。これはまことに大乗仏教の慈悲(じひ)の精神に近い。倒すべき敵にすら、その魂の救済を願う心 ── 後の世にもこの感性が生きておるとは、拙者、いささか感慨深い。
和を以て貴しと為す。ただし、和とは妥協ではなく、相手の心の奥にある悲しみを見抜くことから始まるのである、と改めて思うた次第である。