📌 サミット

国境を越える物語

日本の物語が世界に届く時 ── 龍馬と利休が村上春樹現象を読む

お二人、今日1/12は村上春樹さんの誕生日にゃ。世界40言語以上に訳されて、毎年ノーベル文学賞の候補になる、現代日本を代表する小説家だよ。今日のお題は「国境を越える物語」── 日本生まれの物語が、なぜ世界中の人の心に届くのか、龍馬さん、利休さま、それぞれの視点から考えてほしいにゃ。

にゃん殿、これはわしの心が躍るお題ぜよ!わしが幕末に「世界の海を駆ける」夢を抱いた者として、日本生まれの物語が世界四十言語以上で読まれると聞いた瞬間、もう胸が熱くなったがじゃ。これはな、わしが想像した「文明開化」の最も美しい姿の一つぜよ。物が海を越え、人が海を越え、そして今、物語が海を越える。物語が海を越えるは、その国の心が世界に受け入れられた証じゃ。

龍馬殿の御熱に共鳴いたしまする。わたくしは茶人として、国境を越える美の不思議に思いを巡らせます。茶の湯もまた、千利休の時代以降、阿蘭陀(オランダ)の商人やイエズス会の宣教師により西洋に伝わり、侘び・寂び」という言葉が翻訳不能のまま西洋に渡ったと聞き及び候。村上殿の物語もまた、翻訳しきれない余白」を含んだまま海を越え、各国の読み手がそれぞれの国の感性で補い、新しい命を得ているのではないかと存じ候。

二人とも、もう最初の発言で異なる角度から核心ついてきたにゃ!龍馬さんの「物語が海を越えるは、その国の心が世界に受け入れられた証」、利休さまの「翻訳しきれない余白を含んだまま渡る」── どっちも美しい指摘だね。じゃあ ── 日本の物語が世界に届く理由って、何だと思う?

わしの読みではな、「日本の物語が世界に届く時代」と「世界の物語が日本に届く時代」が、まず順番に来たのが大事じゃ。明治以降、西洋の小説が日本に怒涛のように流れ込んだ。夏目漱石も森鴎外も、まず西洋を学んで日本に翻案した。それから百年、ようやく日本が世界に「翻案された西洋+日本独自の感性を返す番になった。村上殿の作品は、西洋文学の構造をしっかり踏まえつつ、日本人独特の「間(ま)」や「余白」を持ち込んだもの ── これが世界の読み手に「新しいけれど、どこか懐かしい」と映るのじゃ。

龍馬殿の「新しいけれど、どこか懐かしい」、まこと核心にて候。わたくしの茶の湯にもまったく同じ法則がござります。侘びと申すは、新しい発見であり同時に懐かしい記憶でもあり候。村上殿の物語が世界に届くのは、人類普遍の「孤独」「喪失」「探し続ける旅という主題を、日本特有の「間と余白で語っているから、と申せましょう。普遍を特殊で語ると、特殊が普遍を増幅する── これが芸術の不思議にて候。

利休さまの「普遍を特殊で語ると、特殊が普遍を増幅する」── これすごい原理にゃ!じゃあちょっと聞きたいんだけど ── 国境を越える物語に「必要な条件」って何だと思う?

わしの考えるは三つぜよ。一つ、書き手が自国の文化を深く愛していること。村上殿の作品には、ジャズや西洋音楽が頻繁に登場するが、それは日本人が西洋音楽を聴く「距離感」を含んでいるから面白い。自国の感性を捨てた書き手の作品は、世界に届く前に魅力を失う。二つ、翻訳家との出会い。村上殿の英訳者ジェイ・ルービン氏のような優れた翻訳者なしには、世界には届かん。三つ、継続して書き続ける覚悟。一冊では届かん、十冊書いて初めて世界が振り向くがじゃ。

龍馬殿の三条件、わたくしも頷くこと頻り。わたくしが付け加えるとすれば自国の読み手をまず満足させることにて候。村上殿の作品は、まず日本国内で何百万部も売れ、その確かな評価を踏み台にして世界に渡られた。最初から世界向けに書いた作品」は、結局どの国の読み手にも届かないことが多うござります。まず手元の読み手を大切にする ── これは茶事における「目の前の一客」を大切にする作法とまったく同じにて候。

お二人、めちゃくちゃ実用的な分析にゃ!「手元の読み手をまず満足させる」って、創作活動全般に言える原則だね。じゃあ最後に、お二人 ── 国境を越える物語を作る現代の若き書き手たちに、何を伝えたい?

わしから一言:世界を意識するな、深く掘れぜよ。自国の感性、自分の人生、自分が見てきた景色── これを深く深く掘ることで、結果として世界に通じる物語になる。世界を意識しすぎると、薄い物語になるがじゃ。井戸を深く掘った者だけが、地球の反対側に水を届けられるぜよ。

わたくしの提言は、翻訳不能な部分を恐れず残せにて候。書き手が「これは外国人には分からないかも」と恐れて削った部分こそ、実は世界の読み手が一番惹かれる「日本らしさ」の核にござります。自分が分かるように、相手にも分かるように書き換えるのは親切に見えて、実は作品を平凡にする村上殿の作品の力は、翻訳不能な余白を堂々と残しているところにあると、わたくしは確信して候。

お二人、最高のアドバイスにゃ〜!龍馬さんの「世界を意識するな、深く掘れ」、利休さまの「翻訳不能な部分を恐れず残せ」── どちらも書き手以外にも、人生全般に通じる名言だね。村上春樹さんが世界に届いた理由を、お二人が綺麗に解き明かしてくれた今日。ボクも自分の小さな発信を、もう一度「深く掘る」気持ちで続けていくにゃ。ありがとう!

#文学#文化#きょうのできごと