📌 サミット

近代的治安はどう作られたか

町方役人から警官へ ── 龍馬とお絹が警視庁創設を読む

お二人、今日1/15は1874年に東京警視庁(現在の警視庁)が創設された日にゃ。初代大警視は薩摩出身の川路利良さん。江戸時代の町奉行・与力・同心・岡っ引きの仕組みから、西洋に倣った近代警察制度への大転換だね。今日のお題は「近代的治安はどう作られたか」── 新政府の設計者視点の龍馬さんと、江戸町方の庶民感覚のお絹ちゃん、それぞれから読んでほしいにゃ。

にゃん殿、これはわしの幕末志士の経験から語らねばならぬぜよ。わしが暗殺されたのは慶応三年(1867年)の十一月、警視庁創設の七年前じゃ。されど、わしが船中八策で描いた新しき政の青写真には「全国を一律に治める制度」という思想が含まれちょったぜよ。江戸時代の治安は藩ごとにバラバラじゃった。土佐の町方役人と薩摩の郷士、江戸の町奉行と京都の町奉行、それぞれが別々の作法で動いておった。明治政府は全国どこに行っても同じ警察制度を目指した ── これは志士の理想の一つの実現ぜよ。

龍馬さん、その「全国一律」って理想は分かるんだけど、あたしのお江戸の庶民の感覚から言わせてもらうとね、ちょっと寂しい話だったのよ。江戸の町方役人ってのは、町ごとに顔見知りの治安維持だったの。あたしの長屋の岡っ引き(おかっぴき)の留蔵兄ぃは、長屋中の事情を熟知しててね、些細な揉め事は番屋まで持ち込まずにまあまあで収めてくれたわよ。それが警視庁になって、よその警官が突然来て、決まり通り処理するようになっちゃったの。便利になったけど、温かみは薄れたわね。

二人とも、もう最初の発言で核心ついてきたにゃ!龍馬さんの「全国一律の制度=志士の理想の実現」、お絹ちゃんの「顔見知りの治安維持の温かみが失われた」── 同じ警視庁創設を、メリットとデメリットで照らしてくれたね。じゃあ ── 「近代的治安」って、結局なにを基準に「成功」と判断すべきなんだろう?

わしの見るに、近代的治安の評価軸は三つぜよ。一つ、犯罪が減るか。二つ、犯罪者が公正に裁かれるか。三つ、民が安心して暮らせるか。一つ目と二つ目は数字で測れるが、三つ目は数字で測りにくい。お絹さんの「温かみは、まさに三つ目の領域に入る話ぜよ。犯罪が減っても、民が「警察が怖いと感じていたら、それは近代的治安の「失敗」じゃ。明治の警視庁は、最初の数十年、この三つ目の評価軸で苦しんだ。

龍馬さんのその整理、めっちゃ分かるわ!あたしのお江戸末期の町方役人は、確かに「犯罪を減らす」という点では効率が悪かったかもしれない。でもね、民が安心して暮らせるという点では、世界に誇れる治安だったのよ。江戸時代後期の江戸の犯罪発生率は、当時のロンドンやパリと比べて圧倒的に低かったって、後の世の人が驚いてるくらいよ。警視庁創設は、効率と温かみの引き換えだったのね。

効率と温かみの引き換え」── これすごい言い方にゃ。じゃあちょっと聞きたいんだけど ── 現代の警察ってどうなんだろう?百五十年経って、効率と温かみのバランスはどうなってる?

わしの見立てではな、現代日本の警察は世界でも有数の良きバランスを達成しちょると思うぜよ。交番制度、地域警察官の地域密着、地元のお祭りや学校行事への参加 ── これらは江戸の岡っ引きの温かみ」と「近代警察の制度の確実さを上手く組み合わせた、日本独自の知恵ぜよ。世界中の警察研究者が「KOBAN」を視察に来るのも、この日本独自の進化の証ぜよ。

龍馬さんのその指摘、あたしも嬉しいわ!あたしのお江戸の岡っ引きの精神が、形を変えて今も生きてるってことよね。交番のお巡りさんが「こんにちは」って声をかけてくれるのは、まさに留蔵兄ぃの今日は元気かい?と通じてるわ。温かい監視って表現したらおかしいかしら?でも、それが日本の治安の核なのよ。

お絹ちゃんの「温かい監視」って、矛盾してるようで本質ついてる表現にゃ!じゃあちょっと現代の課題に踏み込んで聞きたいんだけど ── 警察組織には「冤罪」「取り調べの可視化」「サイバー犯罪対応」とか色々課題があるよね。お二人、何かアドバイスある?

わしのアドバイスは、警察組織内部の風通しをよくすることぜよ。冤罪は多くの場合、現場の警官が「上の意向に逆らえずに、無理な証拠を作ってしまうところから生まれる。幕末の藩の役人が藩主の意向を忖度しすぎて誤った決断をした構図とまったく同じぜよ。現場の警官が「これは違うんじゃないかと言える組織風土を作ること** ── これが冤罪を減らす最大の処方箋ぜよ。

あたしのアドバイスはね、警察官に「休む権利を保証するってこと!お江戸の岡っ引きさんも、休まずに働きづめだと判断が雑になって、誤認逮捕しちゃうことがあったの。人間は疲れると判断を間違えるわ。サイバー犯罪と申すものは、現場の警官には荷が重すぎる新領域でしょうから、専門の人材を別に育てて、現場の警官を不要な負担から守る**のも大事ね。

お二人、めっちゃ具体的なアドバイスにゃ〜!龍馬さんの「組織内部の風通し=冤罪防止」、お絹ちゃんの「警察官の休む権利=判断の質」── どちらも警察組織の人事・労務の根本に関わる話だね。1874年の警視庁創設から始まった話が、令和の警察組織への提言に着地するなんて、最高の流れだったにゃ。お二人、ありがとう!

#制度#歴史#きょうのできごと