同盟と独立
同盟か独立か ── 政子と太子が読む1960年新安保条約
お二人、今日1/19は1960年に改定日米安全保障条約(新安保条約)が調印された日にゃ。両国の共同防衛責任を明記した、戦後日本外交の柱となった条約だね。今日のお題は「同盟と独立」── 政子さま、太子さま、それぞれの時代の同盟・外交の経験から、この永遠のテーマを語ってほしいにゃ。
にゃん殿、これはわらわが鎌倉幕府を運営する上で常に意識した課題よ。鎌倉幕府は朝廷との関係において、「同盟」でも「独立」でもない、独特の立ち位置を保った。朝廷から征夷大将軍の任命を受けつつ、武家としての独立した統治を貫く ── これは「形の上の従属、実質の独立」という、巧妙な仕組みじゃ。同盟と独立は対立する概念に見えて、実は重なり合うことができる ── これがわらわの六百七十六年続いた武家政権を作った智慧の核じゃ。
政子殿の御見解、まこと深きことよ。予の飛鳥にも同じ課題があった。予が遣隋使を派遣した折、隋の煬帝(ようだい)に宛てた国書には「日出る処の天子、書を日没する処の天子に致す」と書いた。これは、隋を世界の中心とする冊封体制(さくほうたいせい)の中で、「わが日本は隋と対等の天子の国である」と主張した、まこと大胆な国書じゃった。これにより日本は隋に従属せず、独立した国として認識されるに至った。形は対等の文書、実は独立の宣言**── 政子殿の鎌倉と同じ智慧じゃ。
二人とも、もう最初の発言で歴史的に深い指摘にゃ!政子さまの「形の従属、実質の独立」、太子さまの「形の対等、実は独立の宣言」── 千四百年と六百年の時を隔てた二つの智慧が、根のところで通じてるんだね。じゃあ ── 1960年の新安保条約は、お二人の智慧と比べてどう評価できる?
わらわの評価は厳しい。新安保条約は「米国に守ってもらう」という前提を残したまま、その範囲を双務的に整理した、と読める。これは「形の対等、実質の依存」じゃ。わらわの鎌倉や太子殿の飛鳥の智慧 ──「形は従属、実質は独立」── の逆の構造になっておる。真の対等を目指すなら、まず実質的な独立を確立した上で、形を整える順序が望ましい── これがわらわの統治者としての見立てじゃ。
政子殿のご指摘、わらわも同じ感想を持つ。されど、わらわは別の角度から少し弁護したき気持ちもある。戦後の日本は、敗戦により実質的な独立を一旦失った特殊な状況にあった。そこから一気に「形も実質も対等」を達成するのは無理があった。新安保条約は「段階を踏んだ独立への一歩」と読めば、評価し得る部分はあるじゃろう。問題は、その「一歩」の後、第二、第三の歩みが続いたかじゃ。
太子さまの「段階を踏んだ独立への一歩」、めっちゃ建設的な評価にゃ!じゃあ ── 第二、第三の歩みは続いたと評価できるの?
わらわの見るに、経済面では大きく続いた、軍事面ではほとんど止まったじゃ。1960年代以降、日本は経済大国として独自の地位を築いた。されど、軍事・安全保障の面では、新安保条約の枠組みから根本的に踏み出せぬまま六十六年が経った。「経済の独立」は達成したが、「軍事・外交の独立」は積み残しの課題じゃ。これをどう評価するかは、令和の日本人が向き合う最大の課題の一つじゃ。
政子殿のご評価、わらわも同感じゃ。「軍事・外交の独立」は、単に軍備を増強すれば達成できるものではない。自国の安全保障に必要な戦略を、他国の意向に左右されずに描ける能力**── これが真の独立じゃ。日本は今、米国の核の傘の下にいる。この前提を変えるには、外交・軍事・経済・科学技術・教育、全ての領域での自立力を高める必要がある。これは半世紀単位の長き仕事じゃ。
お二人、めっちゃ重い議論にゃ……。じゃあちょっと聞きたいんだけど ── 「同盟を結ぶ」と「独立を保つ」、両立は可能なの?
大いに可能じゃ。わらわの鎌倉幕府が朝廷との関係で実証した。「同盟」と「独立」は対立する概念ではなく、別の次元の概念じゃ。同盟は「他国と協力する関係性の有無」、独立は「自国の意思決定の自由度」。強い独立を保ちつつ、有益な同盟を結ぶ── これが理想の外交じゃ。スイスやスウェーデンは独立を強く保ちつつ、国際機関や経済圏で同盟関係を築いている。日本も学ぶべき例じゃ。
政子殿の整理、わらわも完全に同意じゃ。わらわから加えるなら、「同盟を組み替える柔軟性」も独立の一部じゃ。永久不変の同盟はない。時代と共に同盟相手も組み合わせも変わる。米国一辺倒の同盟構造から、複数の同盟ネットワークを持つ構造へ── これが現代の小国・中堅国の典型的な独立外交の戦略じゃ。日本もこの方向に進むべきと予は読む。
お二人、めっちゃ実用的にゃ〜!政子さまの「強い独立を保ちつつ有益な同盟を結ぶ」、太子さまの「米国一辺倒から複数の同盟ネットワークへ」── これは現代日本の外交戦略の根本に関わる提言だね。1960年の新安保条約調印日から、令和の日本の独立論まで、見事に繋がったよ。今日もお二人、ありがとう!